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2016年12月 1日 (木)

『丸山泰雄チェロ・ライヴ!』寄稿プログラムノート

《弦歌三章》のこと
 
無伴奏チェロといえば、まず私の頭に浮かぶのはパブロ・カザルスによる“バッハ再発見”です。丸山泰雄氏の本日のプログラムにも、そのバッハが含まれています。カザルスは、彼が十三歳の頃の《無伴奏チェロ組曲》との出会いについて感動的な思い出を記しています。『…このタイトルの裏にはどんな魔法と神秘がかくれているんだろう?…私はなぜその店にいるのかということも忘れてしまった。』(『鳥の歌』池田香代子訳)。
人はふつう「人」と“出会い”ますが、音楽家はときに「楽譜」と“出会う”こともあるようです。牽強付会・僭越と知りつつあえて記すのですが、丸山氏と私の出会いも本日の《弦歌三章》の楽譜を通してです。同楽譜が出版された2009年、その折に献本した本作を氏は心に留めて下さり、このたびの演目に加えられました。氏のアクティヴな音楽活動は存じ上げていたものの、このノートを執筆中の現在、私たちにはまだ面識がありません。が、このコンサートでお客様と私は、丸山泰雄氏の志ある豊かな音楽、すばらしい独奏に出会えるに違いありません。
作品についても少し記します。それぞれアジア的なタイトルを持つ三つの楽章からなる本作は、現代的特殊奏法を用いない、むしろ大きな共鳴胴と太い弦から生まれるチェロの豊かで深いレゾナンスを味わいたい、との思いで1996年に書きました。大陸を疾走するかのような第一楽章、切々としたモノローグの第二楽章、終楽章ではシンプルな音型を執拗に繰り返しつつ変奏していきます。
チェロという楽器を通して「音楽」と出会える本日のコンサートに、心から期待しております。
 
石黒 晶

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